児童養護施設 入所理由

施設へ入所する迄の流れと、その後…

1回目の児童養護施設への入所

 

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我が家の中学2年生の太郎は、見た目は至極ふつうの中学生です。中学校で、友達と多少のいざこざはあったかも知れませんが、見た目通り殴り合いのケンカをするようなタイプではなく、実際にそのようなことはなかったようです。

 

しかし、「中学生らしい」とか「真面目」などとはほど遠い中学生でした。例えば、中学校生活を見ると、「遅刻」「早退」「欠席」は頻繁にありました。ちなみに、太郎がやっていた「早退」は、先生に体調不良などを訴えて帰宅するというモノではなく、先生に何も告げず学校を脱走するというモノです。

 

他には、中学2年生になってからは、喫煙・万引き・無断外泊なども常習的になりました。あと、親や兄弟の財布からお金を盗んだり、姉のiPpdを勝手に友達に売ったりしたこともありました。

 

親や兄弟のお金を盗むという行為は、何回もバレて何回も注意したのですが、どれだけ注意をしてもダメでした。

 

私は派遣社員として働いており、妻はパートをして生計を立ててるくらいですから、決して裕福な家庭ではないのですが、妻の財布から生活費数万円を抜き取ったこともあり、太郎には本当に閉口していました。

 

結局、どれだけ太郎に言い聞かせても、「遅刻」「早退」「欠席」「タバコ」「万引き」「家庭内泥棒」などを改める気配はありませんでした。

 

中学2年生になってからは、それらが余計にひどくなっていきました。そのため、子どもセンターに相談をし、何度も太郎と面談してもらったりもしていました。

 

それまでに、中学校の担任の先生や生活指導の先生とも話をしてきました。万引きや無断外泊などを頻繁にやっていましたので、警察にも何度もお世話になりました。

 

中学2年の夏休み前になって、子供センターの担当者から児童養護施設に入所させる話が出ました。相変わらず、無断外泊も続いていましたので、中学校の先生からは「警察に捜索願いを出し、警察からも太郎を児童養護施設させた方がいいと子供センターに言ってもらえば、子どもセンターの担当者も児童養護施設への入所を早めようと考えてくれるハズ」という話をしてきました。

 

という訳で、中学校の先生・警察・子どもセンターの方々と連携を取りながら、どうするべきか考えていたのですが、夏休みになると余計にヒドくなる可能性が高いため、その前に児童養護施設へ入所させようということになりました。

 

児童養護施設は、空きがなければ入所できないのですが、たまたま1人空きが出来たということもあり、それを逃すと次の入所可能日がいつになるか分からないと子供センターの担当者から言われ入所させることになりました。

 

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児童養護施設での生活態度

 

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初めて児童養護施設に入所した太郎は、脱走する訳でもなく普通に生活していたようです。そして、入所から1ヶ月弱ほど経ったころ、自宅に戻す話が出ました。

 

子供センターの担当者が、太郎に自宅へ戻る話をすると、最初は喜んでいたようです。そして、自宅へ戻すことが決定し、その日が近づくと太郎は自宅に戻りたくないと言い出しました。

 

自宅に戻ると、親や兄弟からうるさく言われると思ったのだと思います。ということは、太郎にとって児童養護施設は気楽なところだったのではないかと思うのですが、最終的に太郎は自宅に戻ることを受け入れました。

 

 

児童養護施設から自宅に戻って…

 

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自宅に戻ってきた太郎は、数日は真面目にしていました。家族も、口うるさく言わないようにして、しばらく様子を見ていました。

 

しかし、スグに以前の太郎に戻ってしまい、遅刻・早退・欠席・タバコ・外泊を繰り返すようになりました。

 

結局、夏休みになり学校へ行かなくなると、暇を持て余したのか、午前中は外に出るなと言っていたのですが、隙を見ては家から抜け出して友達と遊んでいました。大抵、3〜4日ほど自宅に帰ってこないのですが、お腹が減るのか、風呂に入りたいのか分からないのですが、必ず数日後には帰ってきていました。そして、帰ってくる度に親に注意をされ、そのときは「これからは真面目にする」と言うのですが、その言葉通りに行動することはなく、翌日から同じことを繰り返していました。

 

太郎が児童養護施設にいる間は、家庭内は平和だったのですが、太郎が家にいると財布からお金を盗まれるため、家族全員あちこちに財布を隠すのですが、それでも探し出してお金を盗み続けていました。金庫を買って、家族の財布はそこに保管するようにしようかとも考えたのですが、それなりの金庫は値段も高いですから…。

 

そして、夏休みが終わり2学期が始まりましたが、当然のように太郎は何ひとつ変わりませんでした。

 

 

最後のチャンス

 

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太郎は、遅刻したり勝手に早退したり、中学校に行くフリをして登校せず遊んだりということが頻繁にあり、それらが一向に改善する気配がないため、中学校の先生は、もう一度、児童養護施設に入れてはどうかと提案してきました。

 

私としては、児童養護施設に入所させたところで、太郎の生活態度などが改まる訳ではないので、どうすべきかかなり悩みました。それが、本当に太郎のためになるのだろうかと疑問に思いましたので…。

 

しかし、太郎が友達と遊ぶことで、友達に悪い影響を与えているのは確かだと思っていましたし、遅刻や早退などは、中学校の先生だけでなくクラスメートにも迷惑を掛けていたと思います。

 

あと、我が家の収入は少ないので、家族の生活費を盗まれるのは死活問題になります。

 

ただ、太郎を1日中見張っている訳にもいかず、手をこまねいて為す術もなく放置していては、我が家だけでなく、まわりの人たちにも迷惑をかけ続けてしまうことになります。そのため、児童養護施設へ"長期間"入所させる方向で検討すべきかも…と思い始めるようになりました。

 

そんなことを考えていたある日、私と太郎は中学校へ行き、先生方と話し合いをしました。その際、「門限を守る」「勝手に遅刻や早退をしない」「外泊はしない」「お金を盗まない」などの約束を太郎にさせました。どの約束も難しいモノはないはずです。その約束の中には、「毎日勉強する」というようなことも入ってないのですから…。

 

そして、その約束が1つでも破られた場合、今度は長期で児童養護施設へ入所することになると伝えました。これが最後のチャンスなので、もし児童養護施設へ入所したくないのであれば、まわりに迷惑をかけないよう生活するようにと伝えました。

 

その約束をした翌朝、太郎はいつものように朝ご飯を食べ、登校する準備などをしていました。朝は、家族全員バタバタしていますし、最後の約束をした次の日ですから、その日くらいは太郎も真面目にするだろうとタカをくくっていました。

 

我が家は一戸建てなのですが、妻が2階のトイレに入ると、いつもは閉まっているトイレの窓が開いていました。

 

妻は変だなと思ったようで、その窓から顔を出して下を見ると、1万円札が落ちていたのでスグに拾いに行きました。そして、私にそのことを伝えました。

 

妻と私は、太郎が家族の誰かの財布から1万円札を盗み、学校へ行くフリをして家を出たあと、1万円札を拾って遊びに行くつもりだと考え、太郎が家を出て1万円札を探しに行くかを見張っていました。ちなみに、登校前に、太郎のポケットを検査するようなことは、それまでに1度か2度ほどしかしたことはなかったように思います。

 

そして、太郎は学校へ行くため(?)に家を出ました。

 

我が家と隣家の間は1メートルほどなのですが、2階の窓から見ていると、太郎は隣家との間に入ってきて1万円を探していました。

 

そのため、スグに太郎を家の中に呼び戻しました。そして、次のような会話をしました。

 

 

私:「どうして呼び戻されたのか分かるか?」

 

太郎:「分からない」

 

私:「登校前に、なぜ隣家との間に入っていたのか?」

 

太郎:「チラッと棒が見えたので何かな?と思ったから。」

 

私:「棒を見に行ったのなら、何かを探し回っていたのはおかしくないか?」

 

太郎:「本当は、以前ライターを隠していたので、それを探していた」

 

私:「もうウソは付かなくていいので、本当の事を言いなさい」

 

太郎:「ウソじゃない」

 

私:「この1万円札をトイレの窓から下に落としたな?」

 

太郎:「そんなことしていない」

 

私:「太郎がトイレに入った時、別の窓から見張ってたので全て見てたけど?」

 

 

私が見張っていたというのはウソで、太郎にカマをかけたのですが、それを聞いた太郎は観念したようでした。そして、朝みんながバタバタしていたとき、姉の財布から1万円札を盗んだことを白状しました。

 

話は少し反れてしまいますが、太郎の言い訳はいつも稚拙すぎて、それも情けなく思っていました。そのときも、最初は「棒が見えた」などと言っていましたが、とっさに思い付いたのがそれしかなかったのでしょうね。

 

そして、そのあと前言を撤回して「ライターを隠していた」と言いましたが、『ライターを持っていたなんて言うと怒られるのは分かっているので、それを言うということは、ウソじゃないってことでしょ?』という感じだったのだと思います。

 

そんな言い訳は、大人に通用しないことが分からないのでしょうね。太郎は、何かをしでしかしたとき、先生や親に問い詰められると、スグに言い訳を始めるのですが、その場で思い付いた稚拙なウソを並べ立てるので本当に呆れてしまいます。

 

話を戻しますが、最後の約束をした次の日のことですから、約束通り児童養護施設に入所させると太郎に伝えました。当然、その日は中学校へ行かせませんでした。大切な約束をした翌日にお金を盗んだくらいですから、登校させると数日は家に戻ってこないことは分かっていましたから…。

 

そして、スグに中学校に連絡をして休ませることを伝えました。そのあと、子どもセンターへ連絡をし、前日の学校での話と朝の出来事を説明し、児童養護施設に入所する手続きを依頼しました。

 

そして、太郎は2回目の児童養護施設への入所となりました。ただ、1回目と違うのは期間です。1回目は1ヶ月弱ほどの入所でしたが、2回目は中学校を卒業するまで入所することが前提となっていました。

 

そのため、1回目の入所時は中学校へ登校していませんでしたが、2回目は児童養護施設の近くの中学校へ通うことになりますので、自宅から通っていた中学校から転校することになります。ちなみに、1回目と2回目の入所は、別の児童養護施設です。

 

ただ、子どもセンターの担当者から事前に説明されたのは、太郎が入所する児童養護施設は、あまり厳しくない施設なので、脱走しようと思えば出来るとのことでした。そのため、脱走を繰り返したり、不登校になったりした場合は、児童養護施設側の判断で受け入れを拒否する場合があるということでした。

 

あと、1回目の入所の際は、短期間だったためか費用は掛かりませんでした。しかし、2回目は長期間であるため、費用が発生すると言われていました。我が家は、経済的にも苦しいため、どれくらいの金額になるのか不安だったのですが、我が家の収入は低いということで費用は一切掛からないと言われました。正直なところ、これは大変助かりました。

 

 

2回目の入所では問題発生

 

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太郎が2回目の入所をして1週間ほど経ったころ、子どもセンターから電話がありました。それによると、太郎が登校拒否を続けているため、両親が児童養護施設へ行き、太郎と話をして欲しいとの事でした。

 

入所する際、入所してスグに太郎と会ったり電話で話をしてしまうと、太郎がホームシックにかかって児童養護施設から出ようとするかも知れないため、会うことも電話することもやめて欲しいと言われていました。

 

しかし、太郎は登校拒否をしたままで、児童養護施設の方がどれだけ話をしても埒があかないということで、仕方なく私たち夫婦は児童養護施設へ行きました。

 

児童養護施設へ行き、太郎に登校拒否する理由を聞いたところ、クラスの半分くらいが自分のことを笑うというのです。その話がどこまで本当なのかよく分からなかったのですが、色々と話をし、とりあえず真面目に登校する約束をしました。ちなみに、児童養護施設にいる同い年くらいの子供たちとも、まだ馴染めていなかったようでした。

 

その後、とりあえず学校には行っているようでした。ひとまず安心しましたが、太郎は児童養護施設の方に、自宅からゲームを送ってもらって欲しいなどと言っているようでした。

 

児童養護施設に入所する前、自宅ではほとんどゲームはさせていなかったのですが、おそらく児童養護施設では「ゲームばかりせず勉強しなさい」などと言われないのではないかと思います。そのため、太郎はここなら存分にゲームが出来ると思ったのだと思います。児童養護施設にいる他の子どもたちも、自宅から持ってきたゲームばかりしているようでしたから、それを見ていたら"自分も…"と思ってしまうでしょうね。しかし、我が家からはゲームは送っていません。

 

私としては、太郎が入所して勉強しないのは分かっていますが、中学校には真面目に登校し、喫煙などは一切せず、児童養護施設の子供たちや中学校のクラスメートと仲良く出来るようになってくれたなら、それだけで十分だと考えています。

 

あと、出来ればクラブにも入って欲しいとは思うのですが、あまり欲をかいても仕方ないので、真面目に生活を送れるようになってくれさえすれば幸いです。

 

そして、中学校を卒業して自宅に戻ってきたとき、家族が財布を隠さないで済むような生活を送れたならそれで十分です。高校進学などは、あまり期待していません。そんなことは二の次で、まわりに迷惑をかけない人間になってから、やり直せばいいかと思っています。

 

 

 

息子を児童養護施設に入所させてみて…

 

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、「学校に行かない」「帰ってこない」「喫煙や万引きをやめない」「家族のお金を盗む」などが改善しないため、児童養護施設に入所させましたが、親としてはそんなことをしたいハズがありません。

 

しかし、実際にはそのような手段を取ってしまい、親として子供の教育から逃げてしまったような気もしています。そのため、児童養護施設へ入所させるという手段が正解だったのかは分かりません。入所させる前に、親としてすべきことがあったのかも知れないと考えると罪悪感もあります。おそらく、私は死ぬまで正解を知らずにいるのだと思うのですが、もう少し色んな人に相談してアドバイスをもらうべきだったのではないかと思ってしまいます。

 

ただ、本音を言うと、日々の生活が楽になったのは確かです。だから、余計に自分達が楽するために、息子を手放してしまったような気になってしまいます。

 

本来なら、自分の息子を児童養護施設に入所させた親として、同じような状況の方にアドバイスさせて頂けるくらいになっていなければいけないのかも知れませんが、私自身がまだ迷い続けてるような状況ですから、他人にアドバイスなどできるはずはありません。そう考えると、余計に情けなくなってしまいます…。

 

最後になりますが、私には太郎以外にも子どもがいます。太郎以外の兄弟は、ずば抜けて優秀という訳ではありませんが、とりあえず普通に育ってくれたと思います。

 

もし、太郎以外に子どもがいなければ、私は子どもの育て方を間違っていたのではないかと、かなり悩んだのではないかと思います。しかし、太郎以外はそれなりに育ってくれたので、完璧ではないにしても間違いだらけでもなかったのでは…と思うことも出来ます。

 

という訳で、太郎のような子どもをお持ちの方に私が何かを言えるとすれば、どんな育て方をしたとしてもどうにもならない場合もあるのではないかということです。誰が何を言っても、どうにも響かない子どもがいても不思議ではありません。

 

そのようなときは、夫婦だけで悩まず、私たち夫婦のように、子どもセンターの方に頼ったり、太郎のように児童養護施設に入所させてしまっても良いのではないかとも思います。もしかすると、それでも何も変わらないかも知れません。しかし、それはそれで構わないのではないでしょうか。

 

私は、中学生時代にするべきこと、中学生時代に出来れば体験しておいて欲しいことなど、それらを遂行させようとしたとき、太郎には合わないやり方をしてしまったのかも知れません。従いまして、私自身も反省点は色々とあります。

 

ただ、太郎もそれなりの年齢になったとき、中学生時代を思い返して色々と思うことがあると思います。そのときに、何も思わないような人間でなければ、最終的には育て方は及第点をもらってもいいような気がしています。自己採点としては甘いかも知れませんが…。

 

余談ですが、太郎が児童養護施設に入所する際、担任は太郎に「近いうちに児童養護施設へいくから…」と言っていたのですが、担任は一度も現れませんでした。

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